最終話先行上映会
『乱歩奇譚 Game of Laplace-赤い部屋-』イベントレポート
また舞台ついて、新宿(主に歌舞伎町)が大好きで取材をしなくても全部頭に入っているという上江洲さんと岸監督は「裏路地までわかるのでラクでした(笑)。」と会場の方々を笑わせ、作中の音楽についても昼間の歌舞伎町みたいな音が欲しいとオーダーをしたとのこと。ちなみにアケチ探偵事務所の場所も歌舞伎町のどの辺りにあるのかちゃんと設定があると明かしました。
イベント当日の9月12日はコバヤシの誕生日ということで話題はコバヤシへ。中性的なコバヤシを推した比嘉さんは、「乱歩の作品の中でも小林少年は女装をするシーンがあったりして、(本作では)少年探偵団でいうところのヒロインの位置づけのキャラクターがいなかったので、コバヤくんが紅一点の存在として際立つように見せたかったんです。コバヤシに関してはキャラクターデザインの森田さんの今までのお仕事を観させていただきながら、方向性などを細かく発注させていただきました。」とコバヤシへのこだわりを話しました。また第1話のアフレコでのエピソードとして、高橋李依さんが演じたコバヤシが想像していた以上に素晴らしいコバヤシで「なんて心のない奴なんだ(笑)これだ!」と良い意味で衝撃的で、スタッフ陣の驚きが凄かったと当時を振り返りました。
そしてBlu-ray/DVD第1巻の特典のドラマCDについて「乱歩奇譚の世界観の中に掘り下げなければいけないものがたくさんあり、その中でなぜあんなにも黒蜥蜴がアケチのことを好きなのかを書いておかなければいけないということで、若かりし日の黒蜥蜴を書きました。」と上江洲さん。黒蜥蜴はコバヤシに近いパーソナリティを持っていた少女で、なぜ本編で描かれるような関係になったのかその経緯が描かれているとのこと。また「なんとしても日笠さんに普通の役をやらせてあげたかった」と付け加え会場を笑わせました。
最後にこれから11話をご覧になる視聴者の方へのメッセージが贈られました。
- 比嘉さん
- 乱歩を原案としたオリジナルアニメをやらせていただいて本当に感無量です。ようやく最終話ということでラルケスタッフ一同も力を入れておりますので、楽しみにしていただければと思います。そしてコバヤシ、ハシバ、アケチ、ナミコシと彼らがどうなっていくのか期待していてください。よろしくお願いします。
- 上江洲さん
- ものすごいスピードで作ったアニメでしたが、かえって自由に楽しく作れた実感があります。本編に入りきらなかったアイデアが溢れてしまい止まらなかったという経験は初めてで、今後色々な派生物が出ると思います。江戸川乱歩先生の世界観をお借りしているので、無限に広がっていくと思いますので、今後もプロジェクトを応援していただければと思います。
- 岸監督
- 10話までお付き合いをいただきまして本当にありがとうございます。残す所あと1話となっておりますが、10話まで観ていただいたお客様ならば最終話は何か心に残ってくれるものになっているのではないかと思っています。宝物になるか傷跡になるか、観てくれたお客様に何か届くものが残せると良いなと思いながら作っておりました。最終回を楽しんで観ていただければと思います。よろしくお願いします。
9月17日(木)に最終回を迎える本作の最終話先行上映会『乱歩奇譚 Game of Laplace-赤い部屋-』が9月12日(土)にフジテレビ・マルチシアターにて行われました。
当日は10話、11話の上映の他、岸誠二さん(監督)、上江洲誠さん(シリーズ構成・脚本)、比嘉勇二さん(制作プロデューサー)、森彬俊さん(ノイタミナ編集長)が登壇するトークショーも行われ、イベントタイトルの「赤い部屋」にちなみ赤い照明に赤いソファーが用意されたステージで最終話や作品の裏話が語られました。
朝まで制作をして上映会直前にハードディスクで映像を持ち込むというハードなスケジュールで行われた上映会。それを物語るかのように「制作期間がこれまでにないほど短かく、年始から全速力でここまできました。引き返して作り直したりすることが許されないスケジュールでした」と話す上江洲さん。岸監督も「短い期間でもクオリティを落とさず作らなくてはならず、迷ったりブレている時間がなかった。」と話し、短期間で完全にイメージを構築するために作った制作アイデアノートを披露してくれました。
様々な事件が起こる乱歩作品を原案とした本作ですが「お話の作り手側が困ってしまうぐらい現実の事件がセンセーショナルで、作品を作るにあたって、乱歩作品のショックや面白みが持ち込めるのか心配だった。」と岸監督。上江洲さんも「現代劇にするにあたってどう表現するか?現代の事件や犯罪をニュースで見た時に味わうショックをフイルムに入れたかった。」という思いがあったのだとか。さらに岸監督は、実際の事件現場で周りの人間が普通に写真を撮っていたり、ビデオで撮影をしていながら、次の日には何事もなかったように、事件現場を歩いているというようなことが起きている世の中について触れ、上江洲さんは「事件よりも事件が拡散されていくことの影響のほうが恐ろしい。」と述べ、「SNSなどを使って誰かがきっかけを与えることによってバタフライ・エフェクトで社会変革を起こしたいというアイデアが生まれました。」と中学生がバタフライ・エフェクトで世の中を変えてしまうというアイデアの基について紹介してくれました。